パソコンとメモの画像
0

記憶力の低下は年齢が行くほど進行するのか

高齢者の記憶については、多くの研究がなされています。
たしかに年齢とともに記憶は悪くなり、覚えたり、思い出したりすることが若いときのようにはいかないことも事実です。
しかし、歳をとると何もかも衰えるのか、というとけっしてそんなことはないのです。

どの世代と比較するのか

高齢者という定義はだいたい60歳代の後半からの人を意味します。
高齢者の記憶力の研究では20歳代ぐらいの人と比較することがふつうです。
40、50歳代の人の記憶力と比較しているものはあまりありません。

たしかに私たちは10代、20代のときには、聞いたことを忘れないとかすぐに覚えられるという経験があります。
そのため20代のころに比べていまはいかにも記憶が衰えていると感じるのです。
ともするとわたしたちは、1番絶頂期を基準にしてものをはかるくせがあります。
中高年になって、10代のころ1晩で分厚い歴史の
教科書を暗記したような記憶力と比較する必要はないのです。
しかし40、50代に比べてはどうでしょう。

例えば人によっては歳をとってきてからのほうが記憶力が良くなったと感じる人がいます。
それは歳をとると昔ほど小さなことにこだわらなくなり、くよくよ考えて精神が統一されないということがなくなること、さらに仕事がうまくいくようになると自信が増し、これが記憶力を良くすること、悩みや不安を克服する方法を覚えているので、ストレスにあってもあまり動揺しなくなり、心が乱されなくなっていることなどが原因と思われます。
また、歳をとってからも勉強をして記憶することを繰り返すことで記憶力が良くなることがわかっているのです。


どんな記憶が衰えるのか

すべての記憶力が同じように衰えていくわけではありません。
見たものとか場所の記憶は衰えますが、一般の理解とか逆に、数、名前、物語の記憶は、40歳代の人とあまり変わりません。

歳をとって良くなるもの

歳をとって経験を積むと、知的活動力が若いときより増します。
そのために、経験を必要とする記憶は増していきます。
たとえば、知り合いの名前を覚えている数は、若いときより多いのです。
ちょうど年賀状の数が歳とともに増すようなものです。

心理的な要因が記憶力に影響する

年齢とともに記憶が衰えるといわれる理由は、記憶そのものの能力が衰えたのではなく、心理的な理由によることがかなりあります。
たとえば、やる気、気が散る、怠け癖、興味のなさ、うつ状態、健康が侵されている、不安などの要因が記憶力に大きく影響するのです。


思い出せないということは忘れたということではない

先ほどいったように、歳をってからでも「記憶力は筋力と同じで使えば使うほど良くなる」と言えるのです。
実際、知能の力は使わなければ衰えます。
また使えばすべての能力は衰えを最小限にできます。
しかしもっとも重要なことは、記憶を良くする技術を学ばないと非常に良くなることはないということです。

記憶の方法は覚えるというのは、覚えていなくてはならないことを覚えるということです。
何でも覚える、思い出すということではありません。
だれでも顔を見て名前が浮かばないことがよくあります。
このときに思い出す手助けをするのが記憶術です。
ですから、思い出せないということは忘れたという子とではないのです。
思い出す技術を使えば思い出せるということです。

わたしたちは時々あまりに覚えることが多すぎて、とても覚えられない、と思うことがあります。
事実、あることを覚えると次の新しい記憶の邪魔をすることがあります。
しかしこれは脳の容量が一定で、その容量を超えた量の記憶はできないということではないのです。

たとえば、「前行性抑制」という現象があります。
これは前に学んだことが、次に学ぶことを邪魔するという現象です。
しかしこれは、脳が満杯になったということとは違うのです。
記憶の邪魔をするのは、記憶したことの量ではなく、秩序だって蓄えていないということなのです。
実際、異常に記憶力のよい人の例を見ると、私たちの記憶の容量には、限度はないともいえるのです。


本当に脳は10%しか働いていないのか

「私たちは脳の能力の10%しか使っていない」という話を聞いた人は多いと思います。
この話は記憶力を増やそうとする人、いや能力アップを図ろうとする人には励ましになるでしょう。
しかし、いままでこのようなことを研究し、その証拠を示した人はいません。

私たちの脳の細胞の活動を外から見ることができます。
それは、PET(陽電子断層投影法)とかMRIという方法です。
これを使うと、脳のあらうるところが活動していることが分かります。
つまり、脳細胞はいつも活動しているのです。

さらに最近の研究では、脳細胞の働きは使わないとどんどん悪くなるということが示されています。
脳細胞は長い突起をもち、これがいろいろな細胞とつながり、情報のやりとりをしています。
このつながりの場所を、シナプスといいます。
シナプスを通る刺激が多くなると、突起は枝分かれして、シナプスの数が多くなります。
一方、神経を通る情報が少なくなると、シナプスは少なくなり、突起は次第に委縮していくのです。

このことが意味することは、脳は10%しか働かず、90%の細胞は何もしていないというのではなく、働いているのですが、情報のやりとりが意味のあるものではないのだ、ということなのです。

ですから、もっとも大事なことは、脳を正しく、ある目的にそったような働きをさせるようにすること、それには、その目的にそうような技術を使う必要があるのです。
記憶についても同じです。
記憶したいと思っているときに別のことが気になっていれば、何も覚えられないし、手がかりも方法もなくてあきらめてしまえば何も思い出すことはできません。

脳をもっとも効率よく使うには、
1.ある目的のために精神を集中し、心を乱さないこと
2.その目的に必要な技術はなんでも使うこと
3.その技術を高める訓練をすること
これらが必要なことです。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です